妖怪シリーズ:姑獲鳥

今日の妖怪の最後の仕上げが終わり、時計を見るともうすぐ3時になる所です。この深夜に絵を描き終える時、毎回満足感と安心感を感じます。このくらいの時間に絵を描き終えた時明らかな身体的なストレスを感じるのですが、興味深いのは精神的なストレスの方です。

朝、私は妖怪のリサーチを始め、昼からスケッチに取り掛かります。そして夕方から夜中にかけて絵を描いていますが、夜寝ている間も妖怪の夢を見ています。比較的明るい、そんなに重くない妖怪を描いている時はこのような状況も楽しめるのですが、楽しめると同時に不穏な気持ちにもなります。特にこれからは10月最後の週になるので毎晩どんどんと怖い妖怪を描いていく予定です・・・。

人は特に一つの物に一心に集中していると、深夜になる頃には脳と眼の“正常さ”が翻弄されていくものです。今夜はそのような夜の一つです。気味の悪い想像を膨らました私の脳はそれを想像し、眼は“見えない物”を私に見せるでしょう。幸運な事に今日はもうこんな時間ですから、やがて太陽が私の脳と眼に悪戯をする闇を消してくれるでしょう・・・。

Ubume

ある妖怪は独創的であったり可笑しかったりし、また先に紹介した遊郭の妖怪のようにそれにまつわる話にユーモアがあったりします。しかしながら今回のように、そのような面白い話しばかりではなくその時代の社会的な問題を反映したようなものもあるのです。伝承や迷信は常にシンプルで冗談を交えたものばかりではなく、時には再び悲劇を起こさないよう戒めるものでもあるのです。

女が子供を産む直前、もしくはお産の最中に亡くなってしまった場合、彼女の魂は赤子を心配するあまり成仏することができずに“うぶめ”(姑獲鳥・産女)になるといわれています。うぶめは生前と同じような生活をしますが、よりぞっとさせる姿をしています。彼女の顔は憂慮と悲嘆に包まれており、その魂は赤子の未来がもう心配ないと安心できるその日まで成仏する事ができないのだそうです。

ある話では、うぶめは枯葉をお金の代わりにして赤子のために食べ物や服、甘いものを買ってやろうとするそうです。また他にも、自分が死んだあとに残された生後間もない赤子の元へ生きている人間を導いていき、自分の代わりに子供を育ててもらおうとするという話もあります。

恐ろしい姿をしていますが、このうぶめは大抵人に害を与える事はない(うぶめに関する多くの言い伝えでは害をあたえるものもある)。彼女の目的はただ一つだけであって、人を襲ったり驚かしたりする事もない。しかしながら、その半透明の死んだ女性が裸でしかも血まみれの状態で夜道、手招きをして私を森の中へ連れて行こうとしたならば、その時の恐怖心は計り知れないでしょう・・・。

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妖怪シリーズ:姑獲鳥」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: A-Yokai-A-Day: Kosodate yurei | MatthewMeyer.net

  2. ピンバック: U is for Ubume - Monstrous Mondays

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