今日の妖怪:毛羽毛現(けうけげん)

この「今日の妖怪シリーズ」のプロジェクトのために、私がいったいどうやってリサーチをしているのか?といったご質問を多くの方からいただきます。ご紹介している妖怪は私が創造したものではなく、全て100年以上前にあったものです。そのためほとんどの資料は大変古く、博物館などにあるためほとんどの情報はインターネットからとっています。しかしながら、図書館やAmazon.comで参考になる良い資料がみつかることもあります。Wikimedia Commons(ウィキメディア コモンズ)では、古い妖怪に関する画集を見ることができますし、日本のウィキペディアにはより多くの情報があります。妖怪についてもっと知りたい方のために、ここにいくつかご紹介します。

それでは、今日の妖怪シリーズにまいりましょう。「今日の妖怪シリーズ」今日は毛羽毛現(けうけげん)です。毛羽毛現は本当に奇妙な妖怪ですが、ほんの少しかわいくもあります。毛羽毛現の漢字表記にはいくつかあり、「希有希見」や「希有希現」などで、いずれにしろ稀にしか見られないといった意味や羽のような毛といった意味があるようです。

毛羽毛現は湿っていて暗い場所に住み、病をもたらすものとされています。大変かわいらしい外見ですが、もしあなたがこの妖怪を家の中で見つけたならきっとひどい病気にかかってしまうでしょう。毛羽毛現に関しては、この言い伝えの他は情報が乏しいようです。
毛羽毛現を描いたものの中で最も古いものは鳥山石燕(とりやま せきいん)の妖怪画集にありますので、以前にもお話しましたが、もしかしたらこの毛羽毛現も石燕が創造した妖怪であるのかもしれません。もっとも、私はそれが悪いことだとは思わずむしろ楽しくて良い事だと考えています。

もし妖怪がペットとして人間にとって良いものであるならば、きっとこの子犬のような(小さくて毛深くて病気をもたらす)妖怪はうってつけでしょう。

毛羽毛現

毛羽毛現

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今日の妖怪:キジムナー

「今日の妖怪シリーズ」今日は、キジムナーです。今回の妖怪はややユニークな妖怪で、特に沖縄でよく知られています。

キジムナーに関しては、古い伝統的な記述の中ではなかなかみつけることはできませんでした。その理由としては、これまでのような古典的な妖怪の話が描かれていた時代には、沖縄は日本ではなかった(琉球王国でした)ためだと思われます。
キジムナーは沖縄県内で有名であり、県内の大きな祭りにもその名前が使われています。

キジムナーは沖縄でよく見られるガジュマルの木に住んでいる、小さくて毛深くて赤い毛の野生的な子共のような妖怪です。時にいたずらもしますが、一般的には良いものとしてしられています。トロールと「ゼルダの伝説」のリンクの間くらいと表現すると分かりやすいかなと思います。もしくはピーターパンよりももっと可愛らしいとも表現できます。
有名な水木茂さんのキジムナーは、丸くて毛深くてボールのような形をしており、大きくてクレイジーな目と牙がある口で表現されています。
今回私は、水木茂さんのキジムナーと沖縄に伝統的に伝わっているキジムナーを統合させる形で描いてみました。

キジムナーは人間と簡単に友達になり、魚をプレゼントしたりいいことをしてくれますが、友達じゃない素振りを見せてしまうとすぐに嫉妬深くなり子供のようなやり方で仕返しをするようです。

ガジュマルの木に住んでいるキジムナーは、漁をしている人を見つけると近づいて漁の手伝いをし、捕まえた魚の目以外の部分はその漁師に全てプレゼントします(魚の目はキジムナーが食べます)。

キジムナーの行動には色々と伝えられていることがあります。例えば、夜になって人の胸の上に座って苦しめ、動けず呼吸ができないようにしてしまうそうです(私も時々感じる金縛りのような状態です)。または、喜んで人間をおんぶしてガジュマルの林を走り抜けたりもするそうです。ただしキジムナーはおならが大嫌いなので、キジムナーの背中ではおならをしないように気をつけましょう!
そしてもう一つキジムナーの嫌いなものがあります。それはタコです!どうしてタコを嫌うのかについてはよくわかっていませんが、もしキジムナーと関わりなくないと思われるのでしたらタコを周辺に置いておくのも良いかもしれません。

キジムナー

キジムナー

今日の妖怪:天狗

「今日の妖怪シリーズ」今日は天狗です。

天狗は、最も有名で興味深い妖怪のうちの一つであり、他の妖怪に比べると多くの絵画やイラストが見られます。

私が天狗に興味を興味を抱いた理由の一つがその名前です。天狗の名は中国でtianguと呼ばれていたものが伝わったもので、空に住み月を食べる(月食の時)黒い犬をさします。中国には、tianguが月を食べてから吐き出すまでの間(月食の間)にまつわるたくさんの言い伝えがあります。
「天狗」の名前の意味は、”天の狗(いぬ)”で、中国語でも「天狗」の漢字が使われています。多くの妖怪達と同様に、天狗についても仏教,儒教,政治,書字などとともに1000年以上前に中国から伝わったもののようです。

そしてこれまた他の妖怪達と同様に、天狗は日本に伝わるとすぐに日本特有のものに変わっていったようです。実際に、日本で伝えられている天狗は、「天狗」という名前こそ同じですが狗の形をしておらず月も食べませんので、名前以外に類似する所はないといえます。

では、「天狗」とはいったい何なのでしょう?神であったりdemon(デーモン)であったりしますが、多くは妖怪として語られているようです。
天狗にはさまざまな種類がありますが、いくつかのよく見られる特徴を紹介しましょう。
1つは、擬人化された鳥のような形。2つ目は人の山伏(やまぶし)に似た形。3つ目は上の二つよりも驚く特徴で、非常に長い鼻がある形です。
天狗は膨大な知識を持ち、非常に強力で危険です。彼らは人間を食べることを楽しみます。そして仏教を妨げる者とされています。
天狗にまつわる話はたくさんあり、それは修行僧を襲ったり、子供を木の上に落としたり木に縛り付けたりと様々です。中でもこんなエピソードがあります。第75代天皇である崇徳上皇は、保元の乱に敗れた後讃岐の国に流されました。そこで彼は自らの血で大乗経を書き、「この写経の功力を三悪道に投げ込み、その力をもって日本国の大魔縁とならん」と言って舌を噛み切ってその血でさらに呪詛をしたというものです。その後彼は生きたまま天狗になったと言われています。

こわい話がありましたが、石川県に伝わっている話によると、天狗は鯖が嫌いなようです。家の周りに魚を吊るしておけば、安全に生活できるでしょうから安心してください。

さて、天狗はいったいいつ生まれたのでしょうか?多くの場合、天狗は天国にいけなかった悪い人間のゴーストであるとされています。しばしば強すぎるプライドを持っている人は、死後天狗になるとされているようです。賢明で博識な人は大天狗になり、無知は人はより弱い小天狗になるとされています。
天狗は仏教にとって大きな敵でありましたので、仏教徒たちは天狗に関する沢山の記録を作りました。そしてそれは今残っている多くの有名な天狗の名称になっています。その中の一つの本Tengu Meigikoで、そこには17種類の良く知られている大天狗と、彼らの家である山について書かれています。大天狗はより人間に近く、長い鼻を持っており、小天狗はよりモンスターのようか鳥のようであるとされています。

しかし、全ての天狗が悪い天狗ではありません。多くの良い天狗についても、仏教徒の書物に書かれています。300年ほどの間で、怖いイメージの天狗は良いかもしくはニュートラルなイメージにかわっていきました。彼らは山を守る存在であり、守護している山から葉っぱを摘みすぎているものに罰を与えるなどしています。天狗の姿がしばしば山伏や修行者として記述されているように、神として天狗を崇拝している多くの話もあります。また、天狗はブドウの達人であるとも知られており、天狗を探すためトレーニングする話もあります。これらの多くの伝説は、画家や劇作家などによって普及されてきました。

大変昔から伝わっている天狗ですが、現代でもとても人気があります。もし日本に1日だけでも滞在するときがあったら、きっと鼻の長い赤い天狗の顔を、お面かトラックの側面、レストランなどで見つけることができるでしょう。

天狗は本当にいたるところで見ることができます。それは英雄であたり悪者であったり怪物であったり達人であったりと多才で有名な証拠でしょう。

天狗

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今日の妖怪:木霊(こだま)

「今日の妖怪シリーズ」今日は木霊です。木霊は有名でよく知られている妖怪で、宮崎駿監督の「もののけ姫」にも登場しています。この作品に登場する木霊はカタカタという不思議は音を立ててながら木の下でたたずずんでいるかわいらしい妖精のような姿をしています。

木霊の名前の意味は、木の精で、木を守護しているものでもあるか、もしくは生きている木の魂そのものでもあります。ギリシャにも木の精(dryads)のお話がありますが、日本の木霊は平和的なのに対してこのdryadsは人間に対して悪いこともします。

木霊は高齢になった時に生まれます。これは、100年経過した物に神や霊魂が宿るという付喪神(つくもがみ)や、同じような伝承にある動物などと同様なもので、木に宿るものと考えられます。日本の社会で高齢・長寿である事は、敬われるべきであるという事が背景にあるのでしょう。

今回、木霊を描くという事は一つのチャレンジでした。「もののけ姫」の木霊はとてもかわいく、伝承をもとにしたものではなく映画のために創造されたものでした。私はこのイメージを盗んでコピーすることはしたくありませんでしたので、木霊について沢山のリサーチを行いました。そして終に鳥山石燕(とりやませきいん)の描いた、年老いた人間の精霊の姿の木霊を見つけたのです。
年老いた木の精として年老いた人間の姿がうまく合っていて私はこれだと思いました。そして、今日訪れた粟田部祭りで感じた精神をこの絵に写したいと感じました。それでは、今日の妖怪「木霊」を楽しんでください!

木霊

木霊

今日の妖怪:おとろし

「今日の妖怪シリーズ」今日は「おとろし」です。この妖怪に関しては実在する記録などがなく、ミステリアスな妖怪です。
「おとろし」についての最も古い記載は、鳥山石燕(とりやませきいん)によるイラストだと思われます。そこでは、「おとろし」はぼうぼうとした長髪のおどろおどろしい妖怪であり、鳥を手にして鳥居の上にいるとされています。

「おとろし」の姿のオリジナルは定かではありませんが、画家達の間では「おとろし」はよく描かれており、それぞれにオリジナルな「おとろし」を創造しているようです。しかし、「牛鬼」とは違い基本となる部分は全て共通しているようで、長髪に牙、不気味な笑みに神社の守り神であるかのように伝えられている言い伝えがあります。

不信な者、非道な者などが神社の鳥居をくぐろうとすると、鳥居の上から物凄い勢いで落ちてくるといわれています。
日本の神社を訪れたときは、鳥居の上を見上げてから中に入りましょう!

おとろし

おとろし

今日の妖怪:朱雀(すざく)

これまで描いてきた西の白虎、東の青竜、北の玄武に今回の「南の朱雀」を加えると四神(しじん)が全て揃うことになります。今年の「今日の妖怪シリーズ」で今回までは、動物や伝説の生物などそれほど怖いものは描いていませんでした。しかし今回の「朱雀」の後は100%妖怪を描く予定でいますので、楽しみにしていてくださいね。

「今日の妖怪シリーズ」今日は朱雀です。
朱雀は南を守護する神で、炎と夏の象徴でもあります。鳳凰やフェニックスと姿が似ていますが、全く違う種類ですので間違わないようにして下さいね。

朱雀は高貴さと優雅さを併せ持ち、これまでに登場した伝説の生物達と同様現代の文化でも大変有名です。テレビゲームやアニメーションの中でも良く見られており、ファイナルファンタジーやポケモンにも登場していますよ。

朱雀

朱雀

今日の妖怪:玄武(げんぶ)

「今日の妖怪シリーズ」今日は玄武です。
これまでに、四神のうち西の白虎と東の青竜を描きましたが、今回の「玄武」はそのうちの一つです。

古代中国では、蛇と亀は長寿の象徴でした。玄武は青竜などと同様に中国からの言い伝えが日本に伝わったもので、その後日本特有の話も付け足されましたが、中国のオリジナルな言い伝えは今も色濃く残っているようです。

日本では亀は名誉・長寿の象徴であり、年老いた夫婦の絵や掛け軸などにはよく亀と蛇が登場しています。

玄武

玄武

さて、私はこの「今日の妖怪シリーズ」のプロジェクトをたくさんの人に知ってもらいたいと思いDiggに紹介しています。是非ここをクリックしてDiggに参加してみて下さい。そして私にDiggして下さい!

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